【テクニカルサポート心得】カスタマーペインという考え方について
はじめに
アノテーション テクニカルサポートの藤本です。
お客様のサポートをしている中で、私達テクニカルサポートエンジニアが強く意識している【カスタマーペイン】という考え方があります。
この【カスタマーペイン】という考え方を理解すると、回答をする側もより的確なサポートが出来るようになりますし、問い合わせをする側もより効率的なサポートを受けられるようになります。
現在、新規入社メンバー向けの育成施策としてこの【カスタマーペイン】の講義を行っておりますが、皆様にも是非その考え方を知って貰いたいため紹介します。
普段サポート業務で回答する人、問い合わせをする人、どちらにも知って貰いたい考え方となりますので、是非ご一読ください。
今回伝えたいこと
今回伝えたいことは以下の2つです。
- 回答する人(サポートをする人)は相手のカスタマーペインを理解しようとすることが大事
- 問合せをする人(サポートを受ける人)は自分のカスタマーペインを伝えようとすることが大事
それでは、カスタマーペインとは何か。から順にお伝えしていきます。
カスタマーペインとは何か
カスタマーペインとは、「お客様の痛み」=「お客様は何に困っているのか?何を知りたいのか?」という考え方になります。
つまり、カスタマーペインを知る。という表現をした場合、相手が本質的に困っていることは何かを考える。ということになります。
カスタマーペインを読み取るとは
社内会計システムを例にしてみましょう。
「エラーが出て経費登録出来ないんだけどシステム障害がありましたか?」と問い合わせがあったとします。
この質問自体で聞いているのは障害の有無です。
しかし、この人が本当にやりたいことは「経費登録をしたい」です。
この、本当にやりたいことを知ることが、カスタマーペインを読み取る。という事になります。
今回は分かりやすい例として「経費登録」という答えに繋がるワードを問い合わせ内に入れましたが、本文内に答えになるワードが含まれていない事も多いので注意が必要です。
カスタマーペインを読み取れないとどうなるか
- 問題が長期化し、お互いに長期に渡って時間を奪われてしまいます。
- サポートを受ける人の満足度が低下します。
- サポートをする人の信頼度が低下します。
カスタマーペインを読み取れないとどうなるか例を示します。
カスタマーペインが読み取れるとどうなるか
- 問題が早期解決し、お互いに長期に渡って時間を奪われることがありません。
- サポートを受ける人の満足度が向上します。
- サポートをする人の信頼度が向上します。
カスタマーペインを読み取れるとどうなるか例を示します。
カスタマーペインを見極めるにはどうすれば良いか
思考プロセスをさかのぼってみる
会計システムで経費登録しよう
↓
手順通りにやったのに何かよく分からないエラーが出た
↓
きっと会計システムの障害だと思うからサポートに聞いてみよう
↓
「エラーが出て経費登録出来ないんだけどシステム障害がありましたか?」
というプロセスでお問い合わせに至ったと推測できます。これをさかのぼって、問合せ者が本来やりたかった事「会計システムで経費登録」に気が付くことが大事です。
ヒントを見逃さない・ヒントから推測しよう
この短い文章にもヒントはたくさんあります。
1つずつ見ていきましょう。
- 「経費登録出来ない」
質問自体は障害の有無ですが、問合せ者の根本の困りごとはこれです。
経費登録出来ないということは、サービスが正常に機能していない可能性があり、原因調査よりも復旧が優先される場合があります。
また、今回「社内会計システム」という言葉は出てきていませんでしたが、経費登録というワードから質問者が利用していたシステムが想定できます。
-
「エラーが出て」
エラーが出たということは、システム側のトラブルの他に操作方法の誤りも考えられます。 -
「システム障害」
システム障害を確認してきているという事は、問合せ者は問題発生の原因に心当たりが無い可能性が高いです。
分からない部分はちゃんと聞こう
カスタマーペインを見誤らないためには、問合せ者へ適切なヒアリングをすることも重要となります
- 推測した内容の確認
問合せ者との間に認識齟齬が発生すると、カスタマーペインを見誤る大きな要因となります。 -
不足情報の提供依頼
やろうとしていた事の詳細(手順書などがあれば手順書のどの操作をしたか等)やエラー内容を共有して貰うことで、背景が見えてくる場合もあります。 -
背景の確認
推測だけに頼らず、直接問合せ者へ確認することも必要です。
返信例
-
推測した内容の確認
経費登録が出来ないとお問い合わせを頂いておりますが、本件は社内会計システムに関する問題と認識しております。認識に相違ございませんでしょうか。 -
不足情報の提供依頼
現在、社内会計システム内での障害は確認出来ておりませんが、調査のために以下の情報についてご提供をお願いいたします。
1.実際に操作した内容(手順書があれば実施した項目をご共有下さい)
2.表示されたエラー内容の全文やスクリーンショット等 -
背景の確認
普段から同様の操作を行っていた。または、今回は普段とは違う操作をした場合にエラーが発生した。等、今回トラブルが発生した背景をご共有頂くことで、より原因調査が円滑になります。ご協力お願いいたします。
さいごに
如何でしたでしょうか。
今回返信例を書きましたが、問い合わせする側も最初からこの情報が必要だと認識していれば、不足情報無く質問できるため解決までのやり取りがよりスムーズになります。
問合せを受ける人、問合せをする人。是非両者ともこの考え方を意識してみてください。
アノテーション株式会社について
アノテーション株式会社は、クラスメソッド社のグループ企業として「オペレーション・エクセレンス」を担える企業を目指してチャレンジを続けています。「らしく働く、らしく生きる」のスローガンを掲げ、様々な背景をもつ多様なメンバーが自由度の高い働き方を通してお客様へサービスを提供し続けてきました。現在当社では一緒に会社を盛り上げていただけるメンバーを募集中です。少しでもご興味あれば、アノテーション株式会社WEBサイトをご覧ください。
関連
AWS テクニカルサポートで得た暗黙知をまとめてみた
テクニカルサポート業務で意識していることを 3 つ紹介します
【AWS初心者必見】テクニカルサポートに寄せられる”本当に”よくある質問